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春山 保幸
企業サポートぐんま, P. 13, 2004/04
線を用いて種々の研究をするための、コバルト60線照射施設の紹介。高崎研究所で使われているコバルト60について、半減期や透過力等の性質,照射施設の各種のインターロック等の安全対策、及び得られた成果の一部について紹介する。
北端 琢也; 清田 史功; 白鳥 芳武; 井口 幸弘; 松井 祐二; 佐藤 裕之
JNC TN3410 2000-014, 43 Pages, 2000/09
新型転換炉ふげん発電所は核燃料サイクル開発機構法にもとづき、平成15年度までに運転を停止することになっており、現在、廃止にともなう措置に関する技術の開発及びこれに必要な研究(以下「廃止措置技術開発」という)を実施している。この廃止措置技術開発を計画・実施するにあたり、「ふげん」を国内外に開かれた技術開発の場として十分に活用するとともに、当該技術開発で得られる成果を有効に活用することを目的として、サイクル機構外の有識者で構成される「ふげん廃止措置技術専門委員会」を平成11年12月に設置し、平成11年12月14日に第1回委員会が開催された。平成12年度も引き続き設置され、平成12年8月28日に第2回委員会が開催された。本書は、第2回ふげん廃止措置技術専門委員会において配布された資料集であり、「ふげん」廃止措置への取り組み状況、生体遮へい体コンクリートの放射化量評価、コンクリート中のトリチウム濃度測定方法の検討、「ふげん」の廃止措置技術開発の進め方についてまとめたものである。また、併せて、当該委員会において参考として報告された系統化学除染の実施状況についても記載した。
宮部 賢次郎; 高崎 浩司; 安中 秀雄*; 泉 雄一*
JNC TN8420 2000-007, 100 Pages, 2000/08
本調査報告書は、核燃料サイクル開発機構が(株)日本環境調査研究所に委託した平成11年度の「市販洗浄剤の放射性汚染に対する除染効果比較試験(その3)」の成果をまとめたものである。管理区域内における放射線作業では、トラブルにより身体・皮膚の放射性汚染を生じる場合がある。放射性物質による身体汚染(皮膚汚染)をできるだけ速やかに除去できるように放射線管理上の措置を講じる必要がある。現在配備してある除染剤の酸化チタンペーストは、実際の使用実績を有する信頼性の高い身体除染剤であるが、使用できる状態の保存期間が数ヶ月と短いために、交換・補給整備に難点がある。このことから、平成10年度のCs-137及びRu-106での試験に引き続き、22種類の各種市販洗浄剤について、今回はCo-60の身体・皮膚除染剤に関する調査・試験を実施した。除染試験は、豚皮の試料にCo-60の放射性溶液を滴下し、5分及び40分放置した後、各種洗浄剤にて洗浄し、洗浄前後の試料の放射能比を求めた。試験の結果、Co-60の除染効果については、Cs-137及びCe-144の除染効果とほぼ同様の傾向が見られた。また、これまでの試験結果より、酸化チタンペーストの除去率と同等以上の除去率を示す洗浄剤が11種選ばれ、その中で製造中止や入手困難なものを除いた7種の洗浄剤が最終的に選定された。
青山 卓史; 升井 智彦*; 住野 公造; 佐井川 拓也*
PNC TN9410 98-004, 74 Pages, 1997/12
高速炉プラントの保守・補修作業時の主要な被ばく源となる放射性腐食生成物(CP)の挙動解明と解析手法の整備に資するため、高速実験炉「常陽」において、第11回定期検査中の平成7年10月11月(積算原子炉熱出力:約14.3万MWd)に、1次冷却系の配管および主要機器を対象に、CPの付着密度と線量率を測定した。今回は、新放射線計測技術として近年実用化が進んでいるプラスチックシンチレーション光ファイバ(PSF)検出器を線量率分布測定に適用し、CP挙動測定の高精度化と迅速化を図った。本研究の主要な成果は以下のとおりである。(1)1次冷却系における主要なCP核種は、54Mnと60Coであり、これらの付着分布には以下の特徴がみられ、過去の測定結果と概ね同じ傾向であった。1)1次主冷却系配管(Aループ)のCP付着密度は、原子炉容器出口から主中間熱交換器までのホットレグ、主中間熱交換器から主循環ポンプまでのコールドレグ(1)、主循環ポンプから原子炉容器入口までのコールドレグ(2)について、それぞれ、54Mnが約15kBq/cm2乗、約33kBq/cm2乗、約46kBq/cm2乗であり、60Coが約8kBq/cm2乗、約5kBq/cm2乗、約7kBq/cm2乗であった。54Mnの付着密度は、60Coに比べて、ホットレグで約2倍、コールドレグで約7倍であり、54Mnの方が線量率に占める割合が大きい。2)1次主冷却系配管表面の線量率は、ホットレグで約0.3mSv/h、コールドレグ(1)で約0.2mSv/hおよびコールドレグ(2)で約0.4mSv/hであった。(2)今回の測定では、前回測定した第10回定期検査以降の原子炉運転時間が少なかったCPの生成量よりも減衰量が上回り、付着密度が減少した。また、原子炉停止後の冷却期間が長かったため、主に54Mnの減衰により線量率も低下した。(3)PSFにより、10mまでの範囲で位置分解能の高い連続的な空間分布が数分間で得られた。また、狭隘で人のアクセスが容易でない保守作業エリアにおける線量率分布が詳細に測定でき、空間線量率のデータを大幅に拡充できた。
田中 忠夫; 長尾 誠也; 坂本 義昭; 大貫 敏彦; S.Ni*; 妹尾 宗明*
Journal of Nuclear Science and Technology, 34(8), p.829 - 834, 1997/08
被引用回数:15 パーセンタイル:74.12(Nuclear Science & Technology)クロボク土とCo、Sr及びAmの相互作用に及ぼすフミン酸の影響について、フミン酸の分子サイズに着目して調べた。Coの分配係数(K)はフミン酸の共存によってほとんど影響を受けなかったが、SrのKは共存するフミン酸の濃度が高くなるに従って大きくなった。一方、AmのKは、クロボク土に対するフミン酸のKと同様に、共存するフミン酸の濃度が高くなるに従って小さくなった。水溶液中で、Amは分画分子量30,000~100,000のサイズのフミン酸と安定な結合体を選択的に形成したが、Co及びSrは100,000以下のサイズのフミン酸とAmに比べて弱く結合することが分かった。これらの結果から、CoやSrのKは陽イオンとフミン酸結合体の両化学種の収着によって主に支配されるが、AmのKはクロボク土に対するフミン酸の収着及び間隙による機械的な捕獲によって制御されることが示された。
not registered
PNC TJ8409 98-003, 62 Pages, 1997/03
高レベル放射性廃棄物であるガラス固化体は、30年から50年間程度、冷却のための貯蔵後、深地層に処分される計画になっている。ガラス固化体は一本当たりの放射能量と発熱量が高い(1. 51016Bq、1.4kW)のため、貯蔵期間中のこの特性を活かした利用法を検討することは、資源の有効利用の観点から重要と考えられる。一方、近年、有害廃棄物の無害化処理の必要性が高まっている。例えば、フロン(クロロフルオロカーボン-CFC)は冷房の熱媒体などに広く利用されてきたが、オゾン層破壊の原因物質であることが指摘されており、環境破壊を招かない物質へ転換した上で、廃棄することが望まれている。この他にも、このような環境へ影響を与える有害廃棄物は多々存在すると考えられ、技術的に有効な処理法が求められている現状にある。本調査では、ガラス固化体の放射線照射による有害廃棄物の無害化処理の観点から、放射線分解処理が可能な有害物質の調査、及びその第一候補となるフロンについての技術的あるいは社会情勢的な背景情報について調査を行った。また、ガラス固化体放射線照射によるフロン分解の可能性を探るため、東京都立産業技術研究所(旧名:東京都立アイソトープ総合研究所)の協力の下、予備的な試験を実施し、線源として高レベル放射性廃液のガラス固化体を使用することも可能であるとの見通しを得た。
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PNC TJ1603 97-002, 66 Pages, 1997/03
動力炉・核燃料開発事業団東海事業所では、体内放射能の定量のため鉄室内に相対検出効率61%のHPGe検出器が2台設置されていて、ヒューマン・カウンターとして使用されている。得られた測定結果から内部被爆線量を評価するためには検出効率の校正が重要である。この校正のために水ボックス・ファントムを用いているが、体格補正は行われていない。しかし、異常時には個人の体格情報に基づく評価が必要で、特に男女間や成人と子供などのように体格が大きく異なる場合には大きな差をもたらす。この様な観点から、体格による検出効率補正を必要としない-同時計測法による放射能絶対測定法を体内放射能測定に適用するため、その基礎研究を行った。複数の60Co線源および46Sc線源を作製し、4-同時計測法により崩壊率を決定し、これらの線源を用いて-同時計測法により絶対測定を行った。60Coの場合、20cm程度までの線源-検出器間距離では、10-80kBqの放射能を10%以内の精度で決定できた。一方、複数の線源を幾何学的効率が異なるように分布させた場合でも、実際の値よりも測定値が小さく評価されるが、配置を考慮すれば10%程度の系統的ずれ以内で測定しうることが判明した。46Scの場合にも60Coと同等の結果が得られ、この方法が一般的に適用可能であることが証明された。
宮田 定次郎; 中吉 直隆*
日本原子力学会誌, 39(12), p.1062 - 1068, 1997/00
被引用回数:4 パーセンタイル:37.13(Nuclear Science & Technology)使用済燃料(燃焼度4.5GWd/t,冷却期間4年)の再処理高レベル廃液を模擬した廃液(SHLLW)のCo線照射により発生する水素量を実験室規模の装置を用いて測定した。SHLLW中には計算コード(ORIGEN-2)より求めた24種のFP成分、3種の腐食成分(Fe,Cr,Ni)及びプロセス添加物1種(P)が含まれ、硝酸イオン濃度は4.97Mであった。水素放出のG値(吸収エネルギー100eV当たりの放出水素分子数)は、攪拌下では0.0164であり、非攪拌下で線量率2.8kGy/h、液深8cm以上の条件では液深(dcm)との間に次式の関係が成立した。G(H)=0.100・d。酸素及び窒素の放出G値も求めた。
田中 忠夫; 村岡 進
Radioisotopes, 45(12), p.753 - 760, 1996/12
土壌に吸着した放射性核種の脱離挙動に及ぼす土壌のpH緩衝作用の影響を明らかにするため、Coを予め吸着させた海岸砂と、pHを4、7あるいは10に調節した水溶液とを接触させるバッチ法脱離実験を実施した。水溶液のpHが高くなる方向に変動するに従って、Coの脱離率は低下するが、非陽イオン性Co化学種の存在割合は増加することが確認された。水溶液のpHとCoの脱離率との関係は、砂表面の負電荷密度のpH依存性から理解できた。水溶液中に存在する非陽イオン性Co化学種は、砂の緩衝pHでのCoの加水分解により形成されるコロイド状の{Co(OH)}であることを示した。
住野 公造; 青山 卓史; 江本 武彦
PNC TN9410 96-233, 27 Pages, 1996/08
高速炉プラントにおける放射性腐食生成物(CP)の1次冷却系内の移行挙動を精度よく把握することは,プラントの保守・点検や補修作業時の放射線被ばくを低減させる上で極めて重要である。このため,高速実験炉「常陽」では,定期検査ごとに主要な被ばく源である^60Co,^54Mn等のCP核種の機器・配管への付着密度とそれによる線量率分布の測定を実施している。本測定に,近年実用化が進んでいるプラスチック・シンチレーション光ファイバ(PSF)検出器を適用し,その特性を活かすことにより高精度で迅速に測定できる手法を開発した。本開発では,検出感度に関しては,「常陽」実機の放射線場でも有効にPSFを使用できるように,ファイバ素子の太さや本数を変えて検出感度を調整した数種類のファイバを製作し,約0.0110mSv/hまでのワイドアレンジで測定できるように改良した。また,ポジション・センシティブな検出器としてのPSFの特徴を最大限に活用できるようにするため,応答関数を用いた逐次近似法によるアンフォールディング技術を適用し,高速炉の1次冷却系の線量率分布のような微細な空間分布測定にも適用可能な感度範囲と高い位置分解能を得るようにした。本測定手法を用いて,「常陽」1次冷却系の線量率の測定を行い,従来の熱蛍光線量計(TLD)による測定との比較を行った。この結果,測定値取得までの所要時間をTLDの約2日から数分間に短縮すると同時に,高分解能の連続的な空間線量率分布として測定することができ,高速炉プラントのCP挙動測定の高精度化と迅速化を実現した。
田中 忠夫; 長尾 誠也; 坂本 義昭; 大貫 敏彦; S.Ni*; 妹尾 宗明
放射性廃棄物研究, 3(1), p.41 - 47, 1996/08
0~130mg/lのフミン酸(HA)を共存させた条件下で、HAを良く収着するクロボク土へのCo、Sr及びAmのバッチ法収着実験を行った。また、これら核種と5000~30000、30000~100000及び100000MWの分子量に分画したHAフラクションとの反応性を調べるとともに、これら分画HAの官能基をFTIR及びNMRスペクトルから特定した。Co及びAmの収着平衡定数KはHAのそれより大きく、共存HA濃度が増すに従って小さくなった。一方、SrのKはHAより小さく、共存HA濃度に伴って大きくなった。これら核種は芳香族系のCOOH、OHを主な官能基とする30000~100000MWのHAと優先的に反応し、この分画フラクション中の核種濃度は、収着実験によって選択的に著しく減少した。これは、クロボク土への放射性核種の収着が30000~100000MWのHAによって制御されている可能性を示唆している。
not registered
PNC TJ1603 96-003, 51 Pages, 1996/03
動力炉・核燃料開発事業団東海事業所では、体内放射能の定量のため鉄室内に直径50mmのHPGe検出器が2台設置されていて、ヒューマン・カウンターとして使用されている。これらの検出効率の校正は水ボックス・ファントムを用いて行われているが、体格補正は行われていない。しかし、異常時には個人の体格情報に基づく内部被曝評価が必要で、特に体格が大きく異なる場合には重要である。この様な観点から、体格による検出効率補正を必要としない-同時計数法による放射能絶対測定法を体内放射能測定に適用するため、60Coを用いてその基礎研究を行った。放射能既知の複数の60Co線源を作製し、絶対測定を行った。その結果、15cm程度までの線源-検出器間距離では、10-100kBqの放射能を20%以内の精度で決定できた。一方、幾何学的効率が大きく異なる分布をした場合には、線源の放射能よりも測定値がかなり小さく評価されることが判明した。
田中 忠夫; 大貫 敏彦
Journal of Nuclear Science and Technology, 33(1), p.62 - 68, 1996/01
被引用回数:8 パーセンタイル:58.77(Nuclear Science & Technology)微細土壌粒子に収着したCo、Sr及びCsの移行特性を調べるため、粒径5m以下の微細土壌粒子を含有する放射性核種水溶液を長さが1~10cmで異なる粗砂カラムへ流入した。放射性核種の流出量とカラム長さとの関係から、微細土壌粒子から粗砂カラムへの放射性核種の1次脱離速度定数(K)を求めた。微細土壌粒子及び粗砂に対する放射性核種の分配係数をバッチ法で測定した。Co、Sr及びCsの流出率は、カラムが長くなるに従って最初は減少したが、その後一定値0.3、0.1、0.8にそれぞれ至った。微細土壌粒子に対する各核種の分配係数は、粗砂に比べて数10倍大きかった。各核種のKの大きさはSrCsCoの順であった。これらの結果は、微細土壌粒子への粗砂に比べて大きな放射性核種親和性が、放射性核種のコロイド的な移行を生じさせたことを示す。
田中 忠夫
JAERI-Research 95-044, 21 Pages, 1995/06
降雨と蒸発が繰り返し行われる自然界の通気層土壌中における放射性核種の吸着・脱離挙動を明らかにするため、海岸砂に吸着させたCo、Sr及びCsを乾燥と湿潤が繰り返し生じる条件下で脱離させるバッチ法脱離実験を実施した。全ての放射性核種の脱離率は乾燥期間の影響は受けなかった。乾湿脱離条件下でのSr及びCsの脱離率は連続脱離条件下での値に比較して増加したが、Coの脱離率は連続脱離条件下での値との有意な差がみられなかった。また、乾湿脱離条件下では砂表面の崩壊が生じ、それに伴い砂からイオン及び土壌微細粒子が液相中へ溶離された。乾湿脱離条件下におけるSr及びCsの脱離率の増加は、水に接している間に生じる砂表面の変質及びCsを固定した土壌微細粒子の発生に起因させられた。
田中 忠夫; 妹尾 宗明
Radioisotopes, 44(2), p.99 - 102, 1995/02
限外ろ過法で100000MW以上、30000~100000MWおよび5000~30000MWの分子サイズに分画した各フミン酸フラクションについて、Co及びAmの反応性を比較するとともに、各フラクションが有する官能基をFTIRスペクトル解析で調べた。Coと2Amは30000~100000MWのフミン酸フラクションと優先的に反応することが分かった。FTIRスペクトル解析から、100000MW以上のフラクションは主として脂肪族のCOOH、30000~100000MWのフラクションは芳香族のCOOHおよびOH、および5000~30000MWのフラクションは芳香族のCOOHが支配的な反応性官能基であることが見い出された。CoおよびAmとフミン酸との錯形成能のフミン酸分子サイズ依存性は、各分子サイズのフミン酸が有する官能基の種類およびその官能基周辺で生じる立体障害に起因することが示唆された。
田中 忠夫; 山本 忠利
JAERI-Research 94-010, 30 Pages, 1994/08
天然バリア中における放射性核種の正確な移行評価手法の確立に資するため、Co、Sr及びCsの砂質土壌中における移行挙動に及ぼす自然環境下の通気層中で生じる降雨と蒸発の繰り返し(乾湿サイクル)による水の不連続な流れの影響を実証的に調べる環境シミュレーション試験を実施した。乾湿サイクル条件下においては、流れの停止期間中にSrの土壌への吸着能を減少させる間隙水中のCa濃度の増加が生じるため、陽イオン性Srの移行性が増大した。陽イオン性Co及びCsの移行性には乾湿サイクルの影響はみられなかったが、流れの停止期間に土壌層中を移行しやすい{Co(OH)}nや、土壌中微細粒子に固定されたCs化学種の生成が進むため、粒子性Co及びCsの土壌層深部への移行量が増大した。
田中 忠夫; 山本 忠利
Journal of Nuclear Science and Technology, 31(4), p.308 - 313, 1994/04
被引用回数:4 パーセンタイル:42.35(Nuclear Science & Technology)自然環境の通気層中においては、降雨と蒸発の繰り返しによる地中水の不連続な流れが生じる。不連続な流れの下での放射性核種の移行挙動を明らかにするため、Coで汚染させた砂層へ脱イオン水を断続的に流下するカラム実験を行い、通気層中でのCoの移行挙動に及ぼす水の流通と停止との繰り返しの影響を調べた。水の流れの停止回数が増すに従って砂層深部におけるCoの濃度が増大した。これは、流れが停止している間に残留間隙水のpHが土壌のpH緩衝効果によって高くなったことにより、移動しやすいCo(OH)の形成が進行したためであると考えられる。砂層深部まで移行する非陽イオン性Coの分布状態は、清澄濾過モデルの適用によって説明できた。砂層中で発生するCo(OH)量の推定から、1回の流れの停止によって陽イオン性Coの約1%がCo(OH)に転換されるという結果を得た。
沢村 卓史*
PNC TJ1600 94-002, 61 Pages, 1994/02
核燃料施設からの直接およびスカイシャイン線による線量評価は、施設の環境評価項目の1つに位置づけられており、遮蔽計算コードにより解析が行われているが、ベンチマークデータが極めて少ないことなどもあり、評価に置いては十分な安全裕度が見込まれている。このため、合理的な評価を行うためには、スカイシャイン線に係わる実測データの取得が不可欠である。本研究は、施設からのスカイシャイン線のベンチマークデータの取得および各種計算コードの検証を目的として実施するものである。今年度は、スカイシャイン線の実データに関する文献調査、スカイシャイン線の測定手法の検討および汎用ユーザーズ版EGS4のスカイシャイン線評価への適用検討として、以下の検討を行った。・米国カンサス州立大学所有の遮蔽実験用野外実験場で行われたCo-60線源を用いた実験について調査した。・パルス状放射線源を用いた手法について調査し、スカイシャイン線ベンチマークデータ取得のために有効であることを確認した。・EGS4により高エネルギー電子線による制動放射線および消滅線の発生についてシミュレーション解析を行い、パルス状放射線源を用いたスカイシャインベンチマーク実験へのEGS4の適用性を検討した。
宮 直之
JAERI-M 93-216, 70 Pages, 1993/11
大型トカマク装置JT-60Uにおける装置の核種分析とその近傍における線量当量評価を1次元円環モデルを用いて行った。計算には中性子、線輸送計算コードANISN及び誘導放射能計算コードCINACを使用した。真空容器周辺構造物において線量当量に寄与する主力線源核種は高マンガン鋼製のトロイダル磁場コイルケース中のMn、インコネル625製真空容器中のCo、ステンレス(SS-316)製第一壁合座中のCoである。定期点検期間に対応する実験停止後3日~3カ月においては、Co、Coなどの長半減期核種が残留放射線の蓄積をもたらしている。重水素実験開始後2年間の放射化についての計算評価は実測とよく一致した。1次元モデルの適応性を検討し、トロイダル磁場コイル構造のモデル化に伴う誤差30%以内での線量当量評価が可能であることを示した。
田中 忠夫; N.Shiwei*
JAERI-M 93-185, 17 Pages, 1993/10
海岸砂質土壌中におけるCo,Sr及びCsの移行性に及ぼすフミン酸錯体形成の影響を明らかにするための吸着・移行実験を行った。Co及びSrは溶存フミン酸との錯体を形成した。Coの錯形成能はフミン酸の分子量に依存しなかったが、Srはフミン酸の分子量に依存した。フミン酸共存条件下において、砂質土壌に対するCoの収着比は減少し、移行性は増大した。液相中Co化学種の分子量の分布は、収着平衡並びに錯化平衡の成立により、収着実験の前後において同じ傾向を示した。Srの移行性は、フミン酸共存によって収着比が影響を受けなかったのにも係わらず、フミン酸共存条件下で増大した。そのような矛盾は、吸着実験と移行実験との間での反応速度の違いから生じたものと推測された。Csの吸着性と移行性はフミン酸の共存によって影響を受けなかった。